最悪に億劫な出社

休み明けの朝、出社するのは本当に身体が重くしんどいものだが、一年間の育休を終えて久しぶりに出社した日の絶望感たるや凄まじいものだった。その日の朝食のパンは味のない綿、コーヒーは熱い泥水、久しぶりに締めたネクタイは絞首刑のロープのように息苦しく感じたのを今でもありありと思い出す。

会社どころか満員の通勤電車も一年ぶりなのである。ぎゅうぎゅうに詰め込まれた電車に揺られ、何度家に引き返そうと思ったことか。まあ結局引き返すことなくなんとか出社し、復帰して2年ほど経つ。

なぜあの時引き返さなかったのか?もちろん家族の生活のためというのもあるが、「まあなんとかなるさ」という開き直りがあったからかなと思う。僕にとっての最悪の事態は僕と家族の心身の健康が損なわれ、今の幸せな生活がなくなることだ。それに比べれば、仕事でミスして怒られる、会社をクビになることなど些細なことだ。仕事は世の中に星の数ほどあるのだし、一番大事なのは小さい家でも質素な食事や服でも家族みんなが思い合って一緒に暮らすことだと思う。

この考えは今に至るまで変わってない。当然、仕事で手を抜いたり不真面目に取り組んだりはしないが、自分が出来うる範囲でやってそれでもうまくいかない、評価されないならそれは仕方のないことだと思っている。